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めしと名のつくものに目がないが、カフェめしというものに明るくない。
まったく知らないわけではない。仕事上の付き合いもあり、何度か都内のカフェで食事をしたことはある。
窓は大きく、ナチュラルな木目調のテーブル。そんな印象である。すっきりとしたデザインの食器には「三浦野菜」とか「大山鶏」というような枕詞のついた食材が「〇〇風」に調理され、鮮やかに盛り付けられているという具合であり、味も申し分ない。
コーヒーの類も充実していて、一杯の値段は、僕が普段飲みに行く居酒屋の生ビールよりもはるかに高い。
決して安くはないが、ちょっと開放感に浸りながら美味しいものでも、という日などにはうってつけだと思う。
しかしながら、なぜか「カフェでごはんが食べたい」という欲望にかられたことは一度もない。

むしろ、午前中の仕事が片付き始めたころに「近くに良いカフェがあるので、ランチはそこにしましょう」などと提案されると、「いいですね」とは言いながらも、内心では「マジかぁ……」と貴重な昼ごはんへの士気がスーッと下がってしまう。

少し前のことになるが、熊本の山鹿へ行ってきた。
女性の一人旅をテーマにした雑誌の特集で、ソリストとしてヨーロッパ各地をひとりで旅する作家の寺田和代さんと、編集のT氏が旅のメンバーだった。
女性の一人旅であるからして、やっぱりランチはカフェでということになり、僕はやはりいつものカフェテンションになった。

ところがである。
ひととおりの撮影を終えて、では我々もと言いながら席に着き、運ばれてきたカレーに口をつけたとき、ロンドンのパブでビールを一口飲んだとき(期待を良い方に大きく裏切ってくれた)と同じような稲妻が背筋を走った。

山鹿を訪れた方はメトロカフェでぜひカレーを。

あれほどのカレーはそうそうない。
カフェめしがどうとか、コーヒーと生ビールの値段を比べるなどというなどという、おのれの低俗さを、一皿のカレーにより思い知らされた気分である。

一心不乱に食べつつふと我に返って撮った一枚ゆえ、少々目減りしているから逆効果になりかねないとも思ったが、ご参考までに。


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