フォトグラファー中田浩資のウェブサイト / Hiroshi Nakata website

  • Gallery
  • Blog
  • About
  • Contact

旅記, Asia

中国 新疆ウイグル

あいわらずラグメンはうまいのだけれど

中国西部、新疆ウイグル自治区の町、アクスにいる。 西安から列車とバスを乗り継いで、トルファン、クチャで滞在し、昨日アクスにたどり着いた。 数年前にクチャを訪れたときも、中心部は漢民族と近代建築であふれていたが、今回はさら […]

26 12月
2017

nakata

« 春風萬里荘が盛を迎えようとしている
フロントのおねえさんにおかえりと言われる顛末 »

Read More

新年明けまして、まずは栃木へ。

新年明けまして、まずは栃木へ。

昭和

昭和

西域南道を駆ける

西域南道を駆ける

タクラマカン砂漠の南側を東進する旅のはじまり

タクラマカン砂漠の南側を東進する旅のはじまり


158

Share

中国西部、新疆ウイグル自治区の町、アクスにいる。
西安から列車とバスを乗り継いで、トルファン、クチャで滞在し、昨日アクスにたどり着いた。
数年前にクチャを訪れたときも、中心部は漢民族と近代建築であふれていたが、今回はさらにウイグル族の影が薄いように思う。この数年で「漢化」に一層の拍車がかかっているようだ。
しかし、道中でそんなこととは比較にならないくらいに驚いていることがある。

「検問」だ。
イスラムへの警戒を強める当局の対策であろうが、その度合いがハンパではない。
ホテル、公園、駅、バスターミナル、道路、市場など、いたるところでX線に荷物を通させられ、パスポートの提示を求められる。

西安からトルファンへ向かう道中のことである。列車が新疆との省境にさしかかる直前で、公安が僕らの寝台車輛に入ってきて揺すり起こされた。他の客には見向きもせずピンポイントで僕らのところにやってきたようだった。
漢民族らしき若い2人の公安は高圧的な態度でパスポートを開き、スマートフォンの特殊なアプリで顔写真のページをスキャンした。
なにかと執拗にしてくる質問には「わからない」の一辺倒でかわすのだが、ついには「大きいカメラを持っているだろう。中をチェックさせろ」と言う。「大きいカメラ」などというあたり、確実に僕らをマークしていたと思われる。そして、カメラマンにとってはこれが一番困るのだ。データを消せなどと言われた日には天を仰ぐしかない。

公安の姿が見えたときに、なにか雰囲気がおかしいなと思い、とっさにカメラのメディアを少し前のものにすり替えておいたのだが、それが吉と出た。公安はふたりで東京や茨城の写真をまじまじと見続け、一周したところで「サンキュー」と言って、去っていった。

昨日、バスでアクスに着き、バスターミナルから出たところで防弾チョッキとライフルで武装した公安2人が「待て」と僕らの行く手を遮った。
「どこの国の人間だ?」「旅行者か?」という軽い質問をしたあと、これからどうするんだと訊いてきたものだから、「メシが食いたい」と答えると、ここで食えとライフルの先を一軒の食堂へ向けた。言われるがままその店に入ると、入口近くの隅の席に公安が座っている。何かを食べている様子もない。
気にせずに、新疆で食べたかったラグメン(トマト和え麺)を注文した。
店内を見渡すと、他の客たちはガヤガヤと談笑しながら麺をすすっている。僕らも運ばれてきた麺に箸をつけ、そろそろ食べ終えるというところで、あのライフルの2人がズカズカと入ってきて、僕の肩をたたいた。
周りの客たちは急に黙り込んでよそを向いている。
「やっぱり来たか」
パスポートを渡すと、パラパラとめくりだし「こいつは台湾に何度も行っている」とか「ビザがない」などという声が聞こえてくる(日本人は15日間のビザ免除が認められている)。
「旅行か?仕事か?」「カバンの中は何がはいっているんだ?」「カメラを持っているか?」などと訊いてくるが、全て知らぬ存ぜぬ聞きとれぬに徹していると、結局は「ソーリー」と言って、笑顔で店を出て行った。と同時に客たちは一斉に歯を見せて笑い、麺をすすり出した。地元民にとっても食堂に公安が入ってくるなんてことには慣れていないらしい。

中国ではちょいちょいこういうことがあるからあまり気にもしないが、今回の頻繁さと面倒くささにはさすがにうんざりである。
共産党政府が威嚇やパフォーマンスでやっているのだろうと見るのが妥当だが、我々の耳に入ってこないようなドンパチがしばしば起こっているという可能性もゼロではない。考えようによってはこの過剰なセキュリティーは、安全であることに違いはないのだが……。

いずれにせよ、まだしばらく新疆の旅にはこの手の煩わしさがつきまとうだろう。
明日、今回の最終目的地カシュガルへ向けての7時間超の列車旅が待っている。

 

 

 

 


158

Share

About Author

nakata

コメントを残す コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

Most Recent

新年明けまして、まずは栃木へ。

新年明けまして、まずは栃木へ。

昭和

昭和

西域南道を駆ける

西域南道を駆ける

タクラマカン砂漠の南側を東進する旅のはじまり

タクラマカン砂漠の南側を東進する旅のはじまり

アーカイブ

Copyright © 2019 フォトグラファー中田浩資のウェブサイト / Hiroshi Nakata website.