日本を発って、6日が経つ。
当初の予定ではカシュガルからキルギスに抜け、美しいイシク・クル湖畔で一泊し、ビシュケクからアルマトイあたりに立ち寄り、そろそろウズベキスタンを目指しているはずだった。
ところが今どこにいるかというと、まさかのカシュガルである。
すべては清明節という馴染みのない先祖祭にある。
中国を旅するときは国慶節や春節を避けるのは鉄則だが、まさか清明節に振り回されるとは思いもよらなかった。
要は、このよくわからないマイナー節日を挟む5日間、お役人は休みに入るらしい。
つまり、陸路国境が閉鎖され、出国できないのである。
この大誤算のせいで、我々はカシュガルのホテルでまさかの5泊目を迎えようとしている。
日々、わけもなく出かけてはウロウロし、お茶を飲み、ウイグル麺をすすり、たまにシャッターを押している。今日は旧市街のバザールの中にカフェを見つけ、久しぶりにコーヒーを飲んだ。とても特別な事をしているよな気分になった。
羊肉だらけのウイグル料理にも飽きてきた。カフェのトイレから帰ってきた旅行作家の下川裕治氏が「おしっこから羊肉の匂いがする」と言っていたが、僕は昨日からそう思っていた。
持ってきた本をゆっくりゆっくり読んでいるが最後1冊の残りのページ数が心もとなくなってきた。
だらけるのは得意だが、身動きがとれないのは結構ツラいものである。
ただ、カシュガルの老城付近の街並みは、あぁ、シルクロードここに在りと酔うほどに美しい。
この街並みのおかげで、なんとか毎日出かける意欲が湧いてくる。
にしても、もうしばらくウイグルは来なくていい。
明日、待ちに待った国境が開く。
さて、今夜は豚か鶏を食べようか。それともやっぱり羊で〆るか。
あ、、、よく考えるとキルギスもカザフもウズベクも羊だらけではないか。
帰るころには毛穴から羊臭を発しているかもしれない。