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決してアル中ではないが、酒が好きだ。
炎天下を歩き回って仕事をした日の夜は、冷えたビールの一杯、いや二杯くらいは飲みたいところである。

ただその二杯のビールが飲みたいがめに、イスラムの国を旅するときは結構しんどい思いをすることがある。
今日まで4日間滞在したジャカルタも立派なイスラム都市だった。レストラン、食堂、屋台にビールはない。
食堂のドアを開けて、「ビールはないか?」などと訊こうものなら「アホちゃうか。」という目で見られてしまうのだ。

方法はないこともない。
まずは、買い出し飲み。
屋台や商店でつまみになるものを物色し、ビールを買ってホテルで飲む。
ちょっと寂しい気もするが、たまにはベッドに横たわってちびちびやるのも悪くない。
ただ、イスラム世界によってはどこへ行ってもビールすら買えないところもある。これはもうあきらめるしかない。

ジャカルタなどの大都市ではチャイナタウンへ行くという手もある。
どこの国であっても中国の宗教文化がまかりとおるチャイナタウンの中華料理屋では、ほぼ飲めると思っていいだろう。
しかし、インドネシアへ来て中華料理というのがおもしろくない。できれば地の肴で飲みたいところである。

あとは、バックパッカーが屯する安宿街である。
アジアではこういう街が存在する国が多い。バンコクのカオサンやホーチミンのデタムがその代表格である。
英語の看板が目立つ一本の通りの両側にゲストハウスやカフェが軒を連ねる安宿街のつくりは、どの国へ行ってもコピーアンドペーストしたかのようで、こういう場所を渡り歩いてアジアを回っても、それぞれの国の印象など残るはずはないのだが、宿の安さなどからそういうエリアに逗留する個人旅行者は少なくない。

ジャカルタにも「ジャラン ジャクサ」という安宿街がある。
「ジャラン」とはインドネシア語で「通り」という意味で、どの通りにもあたまに「ジャラン」がつく。
要するにここは「ジャクサ通り」である。
日本の媒体に「じゃらん」というのがあるが、あれはここからとっているわけである。

はたしてこの「ジャクサ通り」、ビールが飲める以外の魅力は皆無であった。
どの店のテラス席にも若い欧米人がビール瓶を並べてタバコをふかしている。
いくぶんマシそうなレストランに入り、辛うじて数種類あるインドネシア料理を少し注文するも、腹が立つほどにマズい。
ビールを流し込み、屋台でミーゴレンを買ってホテルで飲み直した。

という具合に、ただビールを飲むために、毎日日が暮れるといろいろと考えてみるわけである。
まったく酒好きとは不自由なものだ。

しかしこのジャカルタの酒事情でひとつひっかかることがある。
たしかにローカルの食堂やレストランに酒はない。酒を寄せ付けない空気すらある。
しかし、僕が入ったすべてのコンビニエンスストアにはビールがぎっしり詰まった冷蔵庫が 備えられていた。
しかもローカルビールのビンタンはもちろん、ギネスやハイネケンなどの輸入物までそろっているという充実ぶりである。

誰が飲むのか?
どこで飲むのか?

この街の飲酒事情には確実に裏があるあずである。

台湾経由で明日東京へもどり、中一日で氷点下のモスクワへ飛ぶ。
嫌というほど酒の飲める国である。

2012.10.30    ジャカルタ スカルノハッタ空港


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