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台湾の地方を回る二週間の取材から帰ってきた。
最後に滞在した台南のことを少しばかり。

台北からだと新幹線で1時間45分。
「新幹線」とは日本人のあいだで言われている通称で、正確には「台湾高速鉄道」という。台湾高速鉄道の台南駅は市街から少々離れていて、タクシーで30分(400NT$、約1100円)ほどかかった。台湾の地方都市にしてはいささか長くタクシーに乗ったという感じがした。市内の真ん中にある在来線の台南駅に比べると、ちょっと面倒くさいところにあるとも言える。だから、高雄から来るときなんかは在来線を使ったほうがいいのかもしれない。

それほど大きくない台南の町には、多くの古蹟が点在している。
中でも国家一級古蹟に指定されている赤崁楼(せきかんろう)は、もともとオランダ統治時代に建てられたプロバンディアという西洋建築の城だった。その後、鄭成功の支配を経て、写真のような中国建築の造りへと変わっていった。しかしよく見てみると土台の部分にはしっかりとプロバンディア城時代の面影が残っている、歴史を感じる建築である。

そういった名所旧跡を一通り巡ったあと、花園夜市という、台南で最大級の夜市へ繰り出した。

台南は台北にも勝るほどの夜市天国らしく、夕暮れになれば市内の至る所にバタバタと屋台が並びはじめる。ゲームや衣類を売る屋台もあるが、なんといってもメインは小吃店だ。小吃とは中国語で「スナック」とか「軽食」とかいう意味で、串焼きや麺類やかき氷など、手軽な食べ物は総じてそう呼ばれている。

運転手に「あそこだよ」と言われてタクシーを下りた。
少し離れた路上から見える花園夜市は祭りそのもので、ひるがえる屋台看板の旗は、まるで戦の幟(のぼり)のようだった。

台湾屋台の小吃はどれも少量だから食べ歩きにはもってこい。まずは全体をゆっくり見て回り、気になった店に戻って食べ、また次の店へ行っては食べる。それぞれの屋台の裏手にはテーブルと椅子が備えてあり、座って食べながら次の狙いを定めることもできる。

週に3日しかやっていない花園夜市はなかなか歩けないほど人でごったがえしていた。。

蚵仔煎(カキのオムレツ)、香腸(台湾ソーセージ)、花枝丸(イカ団子)などの小吃はビールの愛飲家である僕の心をつかんで離さない。オムレツを焼いているおじさんの手さばきや、大きな揚げ鍋でたくさんのイカ団子がこんがりと揚がっていくのを見ているだけで食欲がわいてくる。これぞ台湾屋台の醍醐味だ。

しかしながら。
まことに残念なことに、台湾人と僕の間には決定的な食に対する価値観の違いがひとつだけあった。

うまいもの三昧の夜市のどこを探しても、酒を売る屋台が存在しないのだ。

2010.11.24


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