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前回ルーシー・リーの作品を観たのは4年ほど前だったと思う。
銀座の小さな画廊での展示だったため、あまり点数は多くなかったが、ひとつひとつが鮮烈で印象的な作品だった。

ウィーンの裕福な家庭で生まれ、美大に進学したことがきっかけで轆轤(ろくろ)にのめりこむようになり、卒業後は本格的に陶芸家としての道を選んだ。しかし1938年、ナチスのウィーン侵攻によりジューイッシュ家系のリーは、30代半ばで家族とともにイギリスに亡命する。
その後、まだ無名だったイギリスで陶芸家としての活動を再開し、93歳で他界するまで陶芸一色の人生を送った。

千葉で開かれている没後20年展へ行ってきた。

深く鮮やかなブルーやピンクを纏った独特のフォルムは、ルーシー・リー独特の風合いを持つ。欧州的で女性的な華やかさを備えつつも、どこか日本や中国の日用陶器に通じる温もりを感じるのは、日本の民藝運動の作家と交流の深かったバーナード・リーチの影響があるのだろうと思う。それはリーの作品を代表するビビットなボタンの質感にもしっかりと表れている。

陶器はただ眺めるのではなく、生活に溶け込むことでその価値とありがたみが生まれるのだ。
台北の故宮博物院に行くと、白菜でも角煮でもなく、決まって時間をとってじっくり見る作品がある。
この北宋汝窯青磁無文水仙盆などをただ鑑賞するのではなく、食器に見立て、何を盛りつければより美しく映えるだろうかと遊び心をもってみるのも、美術館の楽しみ方のひとつである。

没後20年 リーシー・リー展 千葉市美術館にて 明日(8/30)まで
その後、姫路、郡山、静岡を巡回

2015.8.29  徳島


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