Read More


36

Share

アジアの国々へ、鈍行列車に乗る旅に出た。

アジア諸国の町や村を、出来るだけゆっくりと鉄路で結んでみようと思ったのだ。同じレールの上を走っていても、特急と各駅停車とでは車両も違えば車窓の向こうに流れる景色も違うのだろう。そんな思いからの旅立ちだった。

果たして乗り進めていくと、「この先、列車は走っているのだろうか」と不安になるような寂れた村に入り込むこともしばしばだった。実際に廃線状態になっていて行き詰まってしまうようなところさえあった。しかし、あくまでローカル線にこだわり、地面を這うように粘り強く走る列車に揺られ続けた。なぜならそこには時速数十キロでしか味わえない旅の醍醐味があったからだ。
開け放たれた車窓から居心地の良さそうな町が見えればそこで下りる。宿を探し、市場をひやかし、地の肴で酒を飲む。翌朝、そこからまた次の駅を目指す。ときには夜行にも乗ってみる。国境をまたぐこともある。そうやって長い距離を乗り継いでいくと、人が変わり、景色が変わり、文化が変わっていくのをゆっくりと感じることができる。当てずっぽうで途中下車した町が気に入り、しばらく旅の疲れを癒したくなることもあった。

巡った国は7カ国。それぞれの国に共通して言えることは、技術革新が進む昨今、ローカル線の存在価値は先細りの一途にあるということだった。つまり、いつ出来なくなっても不思議ではない旅なのだ。しかし同時に、飛行機や特急列車が身近になった今だからこそ、アジアの名もない村々を結ぶ鈍行列車が、今も、そしてこれから先も、ローカルピープルには欠かせない生活の手段なのだということを確信した。

これらの写真は、鉄道とは無縁だった僕がゆっくりと進む鈍行列車に身を任せ、ファインダーを通して記録し続けた旅の、僕なりのレポートである。


36

Share