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旅記

愛媛

100余年、なおも瑞々しい「技」と「心」

旅行雑誌「ノジュール」の取材で、愛媛の大洲を訪れた。 ちょくちょく撮らせてもたっている媒体なのだが、今回は旅行エッセイストの宮田珠己さんがナビゲーターをつとめるかたちで、宮田さんに同行し、大洲の町中をあちこち歩き回った。 […]

16 9月
2016

nakata

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旅行雑誌「ノジュール」の取材で、愛媛の大洲を訪れた。
ちょくちょく撮らせてもたっている媒体なのだが、今回は旅行エッセイストの宮田珠己さんがナビゲーターをつとめるかたちで、宮田さんに同行し、大洲の町中をあちこち歩き回った。

宮田さんには前々から機会があればお会いしてみたいと思っていた。
独特の文体と旅先での感情の描写が個性的な宮田さんのの本は、腹をかかえて笑える数少ない旅のエッセイではないかと思う。特に「旅の理不尽」や「私の旅になにをする」には鮮烈な衝撃を受けたことを憶えている。

僕は四国徳島で生まれ育ったが、愛媛のことには明るくなく、今回の大洲についても初耳であった。
細かいことを話し出すときりがないので、「臥龍山荘」のことを少しばかり。

「臥龍山荘」は、明治の豪商、河内寅次郎が余生を過ごすために建てた別荘で、母屋である臥龍院の外観は茅葺屋根作りの農家風でありながら、屋内は立派な茶室になっている。この意表をつくコントラストに、臥龍山荘の真髄がある。

入口の暖簾をくぐったところに見えてくるのは臥龍院の土台になる石積み。まずはこれに「ほぅ」と唸ってしまう。
ぴっしりと縦に分けられた三種類の石積みが(乱れ積み、末広積み、流れ積みというらしい)、この別荘の導入部分にインパクトと心地よい意外性をもたらせている。まじまじと見つめ、触ってみる。このあとはどういう展開になっていくのかとワクワクくると、臥龍院の玄関にたどりつく。

臥龍院は松の一枚板や縄文杉などの銘木をあちこちに配し、贅を尽くした重厚感あふれる内装の中に、透かし絵や彫りものなどの、目を楽しませてくれる細工がキラリと光っている。
宮大工、金工、漆工、木彫師は京都から呼び寄せたらしく、それぞれの「粋」が随所に現れている。
もちろん構造的には釘一本使われていない継手の木造建築ではあるが、縁側を歩いてみれば、飾り釘の頭が足の裏を心地よく刺激する。直径5ミリほどの頭を出す小さな飾り釘は全部で300個近く打たれているらしいが、その中のたったひとつに金工、中村浄益の「益」と読める「サイン」が彫り込まれている。
訪れることがあればぜひ探してみてほしい。
庭に出てみると、飛石のところどころに石臼や手鞠石が仕込まれていて、そのさりげなさに心が躍る。

要するに、名工たちの遊び心のかたまりなのである。
これだけ楽しい茶室は、京都にもそうはないだろう。

雑誌の取材ということで特別に内部の写真を撮らせていただいたが、このブログでは全貌をお見せできないのが残念である。

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2016.9.16 カンボジア シェムリアップ


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