先月下旬のことになるが、仕事で韓国の釜山に一週間ほど滞在した。
釜山は3度目だが、2泊以上の滞在するのは初めてである。
市内の海沿いにはパラソルがずらりと並ぶ長いビーチがいくつもあり、地方から来た若者やファミリーが海水浴に興じていた。聞けば、釜山はビーチの町らしい。
ビーチもいいが、海といえばやはり海鮮である。
観光客で賑わうチャガルチ市場では、1階の売り場で買い求めた魚介類を2階の食堂で調理してくれる仕組みになっている。那覇の牧志公設市場で何度かそうやって買って食べたことがるが、雰囲気はそっくりだった。
その他にはコノシロの塩焼き、ふぐ鍋、甘辛く味をつけたイイダコの炭火焼などの地物料理に連日舌鼓を打っていたのだが、日程も半ばにさしかかったころ、聞き捨てならぬ話を耳にした。
「釜山の港で働く男たち(実際は女性のほうが働いているように見えた)が食う肉が、これがうまいのです」
たしかに、漁師や仲買いの男たちが、魚ばかり食べているわけではないはずだ。
夜も更け、市場が静まり返ったあとにたどり着いたのが、チャガルチ市場からほど近い(徒歩3分)ホルモン横丁なる路地であった。
薄汚れた建物に入ると、両側に数軒ずつ、ホルモン屋が並んでいる。
それぞれの店にはおばちゃんがいて、「いらっしゃい」みたいなことを言っている。
ざっとした屋台村のようだ。
僕らが座った店のおばちゃんは実に軽快にテッチャンとミノを切り分け、熱した鉄板で手早く焼いてくれた。
僕は普段ホルモンの類をあまり食べないが、熟成のころあいがいいのか、漬けダレがいいのか、よくわからにがとにかくこれがうなるほどにうまい。紛れもなくこれまでに食した中では最高のホルモンであり、これには甘ったるい韓国の焼酎が絶望的によく合う。
アップロードしようと思い、この日の写真を見返してみたのだが、ホルモン屋の写真だけがすっぽりと抜けていた。
写真どころではなかったといういうことに他ならない、ということにさせていただく。