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旅記

ロシア

ロシアは極東、晴れ模様

このところ日本人のあいだでもウラジオストクがキテいるらしい。 今年の春にビザが緩和され、インターネットで簡単にeビザが取れるようになったことが、ウラジオ人気に拍車をかけたようだ(10月からはサンクトペテルブルクにこのeビ […]

06 10月
2019

nakata

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このところ日本人のあいだでもウラジオストクがキテいるらしい。
今年の春にビザが緩和され、インターネットで簡単にeビザが取れるようになったことが、ウラジオ人気に拍車をかけたようだ(10月からはサンクトペテルブルクにこのeビザ方式が導入されている)。

彼の地へ来て、6日が経つ。
まず驚くのが韓国人の多さだ。
2日目に取材したブリヌイ(ロシアクレープ)屋は、20席ほどあるテーブルが韓国人だけで満席。外には同じく韓国人が列を作っていた。
ほとんどの飲食店に韓国語のメニューが置いてるが、日本語を置いてあるところはひどく少ない。旅行先に予定していた日本を取りやめ、ウラジオへ変更したと見るのが妥当だろう。
どこを撮っても必ず韓国人が写り込んでしまうという、写真屋にとってはあまり喜べない状況である。少々残念なことに、町のそこかしにあるカフェ(この町はとにかくカフェが多い)の内装や店先のオブジェは完全に目先の韓国人観光客に迎合したものであり、このブームが去ったときのことを思うと、なんとも悲しくなってしまう。
そんなことしなくてもこの町は十分に美しい。

しかし、ウラジオストクは来るべき価値のある町であることに違いはない。
成田からわずか2時間半で、これだけの異国情緒が味わえる場所は他にないだろう。
上質のロシア料理をひととおり味わえるだけでなく、中央アジアやコーカサスなどの地方料理もしっかり整っているし、町中にタラバガニ、イクラ、ホタテ、ムール貝などのシーフード専門店が軒を連ね、その鮮度は抜群である。
そもそもロシア料理の味はやさしく、日本人好みだと、僕は思っている。
その上、モスクワやペテルブルクではなかなかお目にかかれない新鮮な魚介類が楽しめるとなると、カフェ好きの若者だけでなく年配の方々にも旅行先の選択肢としておすすめしたい。
ただ、同行の編集H君(26)は3日前の昼食に生牡蠣7個と生ホタテ6個を「うまいす!めちゃうまいす!」とあっという間にたいらげ、翌日ずっと青い顔をしたまま何も食べようとしなかった。いくら新鮮といっても生物、特に貝類の食べ過ぎは禁物である。

軍港都市として歴史のあるウラジオストクには第二次世界大戦から冷戦時代にかけて多くの要塞が設けられた。その一部が保存、展示されている要塞博物館なるものがある。ロシア語の解説はまったく読めないが、重厚な要塞や、砲台。生々しい展示物には不思議と悲壮感がなく、帝国の堂々たる威厳を感じた。おすすめである。

メーンストリートである噴水通りの周りはミリオンカと呼ばれる一帯で、1800年代、黙認的に治外法権を得たチャイニーズマフィアにの巣窟だった。重厚感ある煉瓦造りの建築はで未だに健在で、今では主に韓国人のインスタ映えスポットになっている。

建材になったのはレンガだった。
当時周辺が深い森に囲まれていたウラジオストクでは町づくりのために建設ラッシュが始まっていた。レンガの製造はその要であり、町中に50を超える工場があったという。このゴールドラッシュに目をつけたのは、ロシア人だけではない。遠くはドイツから来た職人が自国の技術を駆使し、一役買っていたという。ミリオンカの建物の外壁を覆うレンガの裏側には、職人たちが誇りをもって仕事をしたという証である、サインが刻まれているそうだ。前述の要塞博物館に当時のレンガが展示されている一角がある。それぞれのレンガは色や質感が少しづつ違っており、職人の個性が見て取れる。
並べられたレンガをじっくり見ていると、なんと「大日本 大阪 廣瀬」という刻印が……。
130年、海を渡った日本人がこの港町の隆盛における礎造りの一端を担っていたということになる。

なにより、この時期のウラジオストクの気候は素晴らしい。
海のはるか向こうまで青空が広がり、ときおり心地良い風が吹き抜ける。
今日は少し足をのばしてルースキー島へ渡ってみようかと思う。


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