3月、定期購読月刊誌「ノジュール」の特集撮影で、香川を訪れた。
今から考えると、スケジュールがあと1週間遅れていればこのロケは成立しなかっただろう。
まさにギリギリ。思い出に残こる取材になった。
年に一度くらいのペースでご一緒させていただいている作家の岸本葉子さんに同行した取材旅行。
いつもながら年齢を感じさせない活き活きとした、笑顔のたえない岸本さんに何度となく救われた。
「ノジュール」は定期購読という性質上、年間購読しか方法がないのかと思ったら、とりあえず1、2冊読んでみたいという方のために「月払いプラン」もあるとのこと。ぜひお試しいただきたい。
https://www.fujisan.co.jp/product/1281681855/campaign/listing_nodule/?utm_source=Yahoo&utm_medium=cpc&utm_campaign=1281681855&yclid=YSS.1000016670.EAIaIQobChMIg8OzjseT6QIVwauWCh0JUgJTEAAYASAAEgJO1PD_BwE
高松空港からうどんタクシーで向かったのは綾川町のうどん店「たむら」。
さぬきうどんとひとくちに言えど、香川のなかでも地方によって特色がある。
すぐ沖にいりこが特産の伊吹島を擁する西讃では、出汁に「伊吹いりこ」をふんだんに使う店が多いらしいのだが、このなんともいえない濃厚で香ばしい出汁にどっしりと力強い讃岐うどんがからむと、思わず目を閉じて唸ってしまう。
お茶碗いっぱいくらいの「かけうどん 小」をつるっといただき、次のうどん店へ向かうべく支度を始めたところで(うどんタクシーは好みに応じて2〜3軒のうどん店をハシゴしてくれる)、店主が「釜揚げが上がりますよー」と厨房から声をかけてくれた。
グラグラと沸く巨大な鉄鍋から今まさに茹でたてのうどんが引き揚げられようとしている。
なかなかめぐりあえないこのタイミングについて、誌面で岸本さんは「千載一遇のチャンス」と詠っている。
この釜揚げうどんには、生醤油である。
生醤油をさっとまわしかけ、ネギをちらし、ずずっとすする。
伊吹いりこの出汁も絶品だが、これはまた役者が違う。
こんな旅がまたできる日がくるのを、願ってやまない。