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師走。
このひと月、いくつか遠出をした。
紅葉美しき瀬戸内、しまなみへの旅が印象に深い。

同じ四国の生まれだが、他県の風土には明るくない。
しまなみ街道を訪れたのは初めてのことである。

松山から伯方島へ渡り、大三島、生口島、弓削島へ。
ひとくちに瀬戸内の離島とはいえ、香川側のいわゆる「瀬戸芸」エリアの島とは表情がまったく違う。
静かで素朴。ほんのりと切なさを感じるあたり、旅情を煽る。
大三島の宿で、地物のイノシシ肉を焼き、これもまた地物のクラフトビールといっしょにいただいた。すっきりとした甘味が口のなかでとろける、芳醇なバラ肉のうま味。コシの強いビールで流し込むと、申し訳ないが他に焼いてもらった牛や鶏の影が薄くなった。
ひととおり食べ終えたところで、ちょうどワインが空いた。
さぁどうするか。

同行していたのは、旧知の友人であり、仕事仲間であり、国内外の食を共にしてきたグルメM氏。
ここで終わるはずはない。
「瀬戸内海よ。魚行くでしょ」
ふらふらと宿を出て、真っ暗の道を歩き、暖簾をくぐった。

「ポン酢もいいですが、ぜひ塩でも召し上がってください」
毎度のことながらオコゼというやつは、その見てくれからは想像できない、実に繊細で豊かな味がする。
絶品の一言に尽きる。

大三島で犬や猫を見かけた。
どうやら野良のようだ。
地元のひとに訊くと、「よそから捨てに来る」らしい。
島に捨てると戻ってこれないからだそうだ。

車とフェリーを使い、島をつなぐ旅。
微妙に違う島々の内側を探り、触れる。
あらためて日本の奥深さを知る。

大変な一年でしたが、今年もお世話になりました。
新年もなにとぞよろしくお願いいたします。


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